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MATCH DAY PROGRAM|2026.8.30 vol.01

2026.8.30
今シーズンよりマッチデープログラムをリニューアル!
今シーズンのマッチデープログラムは、毎試合1選手にスポットを当てたインタビュー形式でお届けします。ここでしか読めないエピソードをお楽しみください。
PDFはダウンロード・印刷してお楽しみいただくことも可能です。



「チーム最高順位へ導く」あえて険しい道を選び成長する、背中で示すキャプテン

 頼もしいキャプテンでありディフェンスリーダー、岸みのり選手。センターバックとして粘り強い守備でチームを支え、169センチの長身を活かしてセットプレーでゴールを狙う。

 9か月の長い道のりを乗り越えた。昨年9月のトレーニング中に負った大怪我。左膝の前十字靭帯損傷、内側半月板損傷、外側半月板損傷、内側側副靱帯損傷から、懸命のリハビリを経てついにピッチへと帰ってきた。

 試練の時期を「自分を見つめ直し、支えてくれる人々の思いを再確認する時間だった」と振り返る背番号20は、誰よりも強い覚悟と感謝を胸に、今季初のホームゲームへと臨む。新シーズンにかける並々ならぬ情熱と意外な素顔に迫った。

ついにピッチへ戻ってきましたね。復帰までの道のりを振り返っていかがですか?

そうですね……やっぱり9ヶ月くらいかかったので、本当に「やっとかな」という気持ちです。

リハビリ期間を経て、一番嬉しかった瞬間はいつでしたか?

一番嬉しかったのは、練習に部分合流できたときですね。完全復帰ではなかったんですけど、最初に練習の輪に加われたとき、涙が出るほど嬉しかったです。樋口(靖洋)監督から「今日から部分合流」と紹介していただいたとき、こみ上げるものがありました。リハビリ中は別メニューで室内やグラウンドの端でトレーニングする時間が長かったので、それまでの想いが溢れてきて。みんなの輪の中に自分がいること自体が久しぶりすぎて、「ああ、戻ってきたんだな」とすごく実感しました。

長期離脱はこれまで経験がなかったんですよね?

一度もなかったです。高校生のときに腕を骨折したくらいで、手術をするような大きなケガは一度もなくて。前十字靱帯のケガは女子選手に多いですし、周りでも見てはいましたけど「まさか自分が」という気持ちでしたね。

ピッチの外からチームや試合を見る期間にもなりましたが、気づきはありましたか?

ケガをしたのがシーズン中だったので、ホームゲームを上から見たり、観戦したりという体験も初めてでした。本当にいろんなものが見えましたね。ホームに行ったときは「サポーターの方って、アップ中もずっと声を出し続けて応援してくれているんだ」と気づくことができました。メインスタンドで(セットプレー時に)タオルを回してくれたり、ユニフォームを着てくれている人がこんなにいるんだと、支えてくださる方の存在がすごく目に見えたんです。だからこそ「応援してくれる人たちのためにも一生懸命、頑張らないと」という気持ちになりました。

離脱中もサポーターの方から支えがありましたね。

横断幕にメッセージを書いていただいたんです。「待っているよ」とか「焦らずしっかり治してね」とか、手書きの温かい言葉がたくさんあって、すごく励まされました。だからこそ、今回のホーム開幕戦では「帰ってきたよ!」と、皆さんに笑顔で言えるような気持ちで臨みたいです。

このオフ期間には男子の北中米ワールドカップも開催されていましたね。試合はご覧になりましたか?

はい。日本代表の試合はもちろん、注目のカードは全部見ていました。ワールドカップは本当にお祭りのような感覚で見ていて楽しかったですね。特にスペインのサッカーは「どうしてあそこまでスムーズにボールが回って、1失点だけで勝ち上がれるんだろう」とすごく気になって。選手一人ひとりの立ち位置や守備の連動性をかなり意識して見ていました。

大会を通じて、刺激や学びもありましたか?

すごくありました。あとは日本代表のワンチームで戦う一体感ですね。同い年の南野拓実選手が大会前に自分と同じ前十字靱帯のケガをしてしまって、それでもチームの力になりたいとメンターとして同行されていました。様々な人の思いを背負いながらチーム全体で支え合って戦う姿にはすごく感情移入しましたし、励まされました。「チームってこういうものだよな」と改めて感じさせられましたね。

新シーズンのエルフェンのアピールポイントを教えてください。

樋口監督のもと、どうやってボールを運んでゴールを奪うかという攻撃面は、ミーティングでも繰り返し取り組んでいます。主導権を握る時間を長くして、狙いを持った攻撃で得点を狙っていきたいです。もちろん、エルフェンの強みであるゴール前の粘り強い守備はブレさせずに、昨シーズンの課題だった失点数を減らして、より堅い守備にこだわりたいですね。

第2節の相手はINAC神戸レオネッサです。昨季のリーグ優勝チームとの対戦で、元チームメイトの吉田莉胡選手とのマッチアップも楽しみです。

吉田莉胡選手とのマッチアップも楽しみです。 吉田選手とは移籍後に1度対戦できたんですが、その後に私がケガをしてしまったので久しぶりの対戦になります。それにINACには同じ31歳の成宮選手もいて、彼女も前線での運動量がすごいですし、急にゴール前へ現れる恐さがある。なでしこジャパンにも選ばれていて、同い年で第一線でバリバリ活躍しているのは本当にすごいですし、負けていられないですね。

成宮選手への対応が勝負のカギになりそうですね。

そうですね。成宮選手は「あれ。さっきあっちにいたのに、なんでここにいるの!」と、びっくりするくらいの走力とセンスがある選手なので、ピッチ中央でのバトルは絶対に後手を踏まないようにしたいです。もちろん向こうも負けたくないと思っているはずなので、どちらが“中盤の主導権を握るか”をポイントに見ていただきたいですね。INACは強力なチームですが、全員が「目の前の相手にまず勝つ」という意識で戦えれば、絶対に勝てると思っています。

少しプライベートのお話も聞かせてください。普段のリフレッシュ方法はありますか?

実はプライベート、本当につまらないんですよ(笑)。趣味も特にこれといってなくて、休みの記憶もサッカーのことばかりで・・・。
でも美味しいものを食べに行くのは好きですね。焼き肉やお寿司が好きで、疲れたときに頑張ったご褒美として食べますね。チームメイトと行くこともあるんですが、オフで行ったのに結局「あの場面はこうするべきだったなどサッカーの話になっちゃって。「映像見よう」と言って、本格的にミーティングのようなものを始めちゃうこともあります。でもたまにみんなで集まってマリオパーティーなどのゲームをしますよ。ゲームをしているときだけはサッカーの話にならないので(笑)

発言力や姿勢も含め、それだけサッカーに対して誠実でいられる原動力はどこにあるのでしょうか。

恩師たちの言葉ですね。高校時代(都立飛鳥高校)女子サッカー部の監督だった、情熱的な金澤真吾先生から「もし選択に迷ったときは、苦しい方を選べ」という言葉をいただきました。人によって賛否はあると思うんですが、私は選択に迷ったとき、常に険しそうな道を進んできました。それが結果的に良い方向につながって、今ここにいられていると思うんです。あのとき楽な道に行っていたら、今の自分はないなと感じています。

キャプテンとして、チームを引っ張る上で心がけていることはありますか?

自分が発言する言葉に説得力を持たせたいと思っています。いい加減にやっている人の言葉って響かないじゃないですか。だからこそ、発言する立場にいる自分は、日頃の小さいことからみんなに認められるような行動をしないといけない。「毎日、自分に恥じない行動をする」ということは常に意識しています。

最後に、今シーズンの個人目標を教えてください。

まずはシーズンを通してケガをせず、最後まで戦い抜くこと。守備はもちろん、セットプレーでの得点でもチームに貢献し、「今までの自分を超える」ことです。この年齢で大きなケガをして離脱し、そこからパフォーマンスを戻し、さらに上げていくのは簡単なことではないと理解しています。それでも、プロとしてサッカーをする以上はそこに挑戦したい。「今までの岸みのりで一番良いよね」と言われるくらいまで成長して、今シーズンこそキャプテンとしてチームを過去最高順位へ引っ張っていきます!

取材・文=砂坂美紀(FOOTBALL ZONE)



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